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■『戦旗』1660号(6月20日)4-5面 24春闘 更なる闘いの前進を勝ち取ろう 小原 薫 24春闘はまだ終わっていない。この春闘は様々な闘いがあり、今後に向けた課題と格闘しながら全国各地で今なお闘われている。更に闘いを推し進め、階級的労働運動の前進を勝ち取ろう。 ●24春闘の特徴 春闘は、日本の労働運動の中で大きな節目として闘われている。以前は、鉄鋼や自動車産業などの大手各社が賃上げ交渉を行い、この結果が多くの労働者に波及するという形で闘われて来た。しかし、こうした春闘の姿は年々形骸化している。 今春闘の特徴の第一は、大企業と中小零細企業との格差が更に進んだことである。 今年は、政府・経団連が一体となった「生産性の向上と賃上げの好循環で景気回復を図る」という掛け声が上げられ、芳野連合会長はあろうことか「経労委報告書のほとんどのページは共感を持って拝読した」と労使協調を臆面もなく言ってのけた。こうした中、大手の大企業を中心として闘わずして賃上げが行われた。形ばかりの要求書が提出され、満額回答や要求を上回る回答が出た所すらある。三月一五日の連合の調査によれば、賃上げ率は組合員数三〇〇人以上の大企業では、平均5・30%となっている。 しかし、中小企業に於ては重層的な下請け構造の中で大企業に納入する製品の価格がさして上がらなかった。そのうえ円安による材料費の高騰によって苦境を強いられている。連合の調査によれば組合員数三〇〇人未満の中小企業の賃上げ率は、4・42%となっている。こうした賃上げによっても、生鮮食品を除く消費者物価が前年同月比2・7%上昇している中では焼け石に水に他ならない。 しかも大企業と中小企業との差は、この時点では0・88ポイントであり、二二年の0・1%、二三年の0・36%と年々拡大している。春闘交渉は、中小企業では現在も闘われているが、この結果によっては更に格差が広がる可能性がある。 また、労働組合のない企業に於ては賃上げすら行われていない。城南信用金庫と東京新聞が三月に行った調査によれば、東京都と神奈川県の中小零細企業八一一社のうち30・9%が「賃上げの予定なし」と答えている。 賃上げを予定している企業においても、ある企業は、「原材料費(四年前の約三割高騰)、燃料代の高騰の中でも販売先の大手メーカーが離れる不安から販売価格の値上げを求めることができず、賃上げを行うためには会社の利益率を下げるしかない」と語っている。こうした中でも賃上げを行うのは人材確保のためだという回答が多く寄せられている。 東京商工リサーチが四月に発表した二〇二三年度の企業倒産は、前年比31・6%増の九〇五三件だった。負債額が一億円未満の中小零細企業の倒産が目立つ。物価高を理由にした倒産が六八四件、人材不足関連倒産が一九一件となっている。こうした中小零細企業の経営者や労働者を尻目に、大企業は内部留保金を五一一兆円(二〇二三年九月)もため込んでいる。 われわれは、大企業のみが儲け、相も変わらない下請けいじめの構造を変えさせるために大企業優遇税制を止めさせ、賃上げ分も含めた取引価格の上昇を行わせること。そのために大企業の内部留保金を吐き出させる闘いを引き続き強化する必要がある。 今春闘の特徴の第二は、ストライキによる闘いが行われたことである。 厚生労働省の調査によれば、日本でのストライキ件数は一九七四年の五一九七件をピークに年々減少して近年は三〇件台となっていた。こうした中で、昨年八月三一日に闘われたそごう・西武百貨店のストライキは久しぶりのストライキとして耳目を集めた。このストライキは、企業の売却が働く労働者を無視して進められようとしていることに異を唱え、団体交渉の場にセブン&アイの経営者を出席させた。この闘いによって労働者を無視して経営は成り立たないことを新しい株主に対しても知らしめる闘いとなった。こうしたストライキを含む闘いは、今少しずつであるが労働者の中に浸透している。 全港湾は、港を戦争のために使わせないという方針の下、三月一一日トマホークを搭載する米海軍のミサイル駆逐艦ラファエル・ペラルタが石垣港に寄港することに対して、午後一時から、石垣港での荷役作業等を行わないストライキに突入し、一三日に出港が確認されるまで闘われた。 この闘いに対して石垣市議会は「離島住民の命や暮らしを危険にさらす行為」として「全面ストライキの即時解除を求める要請決議」を与党等の賛成一三反対八で可決した。与党議員は「強固な日米同盟と抑止力の観点から今回の寄港は必要」としている。石垣市の反動中山市長は、この間朝鮮民主主義人民共和国への差別的排外主義的な敵視を煽り、自衛隊の陸自駐屯地開設を強行し、地対空誘導弾パトリオットの設置を認めている。島民を危険の下にさらしているのは石垣市長をはじめとする反動勢力である。 アジア・太平洋に対する侵略戦争の拠点として港が使われたことを痛苦に受け止め二度と戦争のために港を使わせないという労働者の闘いに対して悪罵を投げつけることは絶対許してはいけない。まさに、職場を拠点に反戦闘争を闘う全港湾の労働者を支持しよう。 全労連系の全医労連は昨年に引き続き、三月一四日一四六病院で一斉ストライキを行った。コロナ禍の中で厳しい勤務を行ってきたにも関わらず、看護師の給与は低いまま、非常勤の時給は常勤勤務の初任給で決められ、昇給制度もなく、ボーナスは夏冬共に三万七二〇〇円でしかない。こうした中でやめていく看護師も多い。これらに対する怒りのストライキは、組合員との対話を重ねた準備によって、指名ストや時限ストなど様々な形で決行された。当たり前の要求を当たり前の闘いで実現するこうした闘いが、経営側の譲歩を引き出すためには、もっと強力な闘いが必要だ。「ストライキ迷惑論」を乗り越えることが今後の闘いの課題となっている。 また、郵政産業労働者ユニオンは、三月一五日全国二〇職場五八人が一斉ストライキを行った。会社側は、組合側の再三の申し入れにも関わらず、組合の回答指定日三月一三日に回答せず、三月一四日の午後九時三〇分に回答するという不誠実な態度に終始した。回答の内容は、正社員に対しては、定昇分を含んで3・7%の賃上げ等、月給制契約社員には、五一〇〇円の賃上げ等だったが、時給制契約社員にはゼロ回答という到底許せないものであった。ストライキは、全国一斉に時限スト等として行われた。会社側は、この間非正規社員に対する差別待遇の是正を求める最高裁判決に対して、正社員の労働条件を下げて「均衡待遇」とする、会社側と協調するJP労組との交渉を先行させるなど、郵政産業労働者ユニオンへの敵視を強めている。組合敵視を許さず、困難な中で闘い抜く労働者を支えていく陣形を更に強化しよう。 これらのストライキ闘争は、まだまだ少数の闘いであるが、この闘いの中で勝ち取られたもの、そして問われた課題は今後の労働運動を前進させるための大きな一歩を印した闘いであった。更に闘いを推し進め国家権力・資本そして右翼反動勢力と闘い抜き、勝利を目指す労働運動の力を作り出そう。また、世界中の労働者は賃上げ、労働条件の改善に向けてストライキ闘争を闘い抜いている。こうした闘いから学び、連帯していこう。 ●更なる前進に向けた闘いの課題 「年収の壁」論を粉砕しよう 闘いの課題の第一は賃上げを勝ち取る闘いを更に進めることである。 先に明らかにしているように、大企業と中小零細、そして正規と非正規の格差は広がるばかりである。この原因は、賃上げできるように価格転嫁がされていないという問題があるが、もう一つ大きな問題としていわゆる「年収の壁」問題がある。 現在、年間「一〇六万円」、「一三〇万円」以上の賃金が支払われることによって配偶者の「扶養」から外れ、年金や健康保険の保険料を支払うことになるため、この金額を超えないように就労調整をしているパートやアルバイトの労働者がいる。このことは「年収の壁」と呼ばれている。この壁を理由として非正規で働く主に女性労働者が年収を低く抑える口実にする動きがある。 現在、厚生年金に加入している配偶者が年収一三〇万円を超えない場合は、国民年金の保険料を支払う必要がない第三号被保険者となる。第三号被保険者の保険料は、独身者も含めた厚生年金加入者全体の保険料の中から支払われている。この制度は一九八五年から始まり、それ以前は扶養されている配偶者は国民年金に任意加入していた。しかし、任意加入している人が少なく、国民年金を受給するために必要な年金加入期間(二五年)を満たすことができず、将来無年金者になる等の問題があるとしてこの制度がつくられたと厚生労働省は説明している。 しかし、この制度が作られたのはそうした「女性の無年金対策」のためという表面的な理由だけではなかった。それは、現在も続く自民党政権と日本社会に色濃く残る「男性稼ぎ主モデル」という家族形態、それは男性(夫)が稼いで妻子を養い、女性(妻)は夫に扶養されながら家事・育児・介護を行うという考え方がこの制度の背景にあることを見逃すことはできない。 この制度が作られた年は、「男女雇用均等法」が成立した年でもある。この「均等法」は国連における「女性差別撤廃条約」を日本が批准(一九八五年六月二五日)するためには必要なことであり、同時に、女性たちが労働者として働き、賃金や労働条件などにある差別を無くすため男女平等法を求める闘いがある中で「雇用機会均等法」が作られた。 この「均等法」さえも実質的に骨抜きにし、女性は専業主婦、働いても家計補助的な低賃金のパート労働でいいとされ、夫に扶養されるというところに固定化させるためにもこの「国民年金第三号被保険者」制度=専業主婦優遇制度が作られたのである。専業主婦がいれば、国は福祉に使うお金を最低限にできるし、女性の労働形態はパートなどの非正規雇用でよく、賃金は低くていいとされたのだ。おまけに第三号被保険者の女性を雇えば、企業は年金の企業負担分を免れるのだ。 ここに現在の女性の貧困に繋がる要因があることを私たちは見逃してはならない。しかも「第三号被保険者」や健康保険の扶養家族制度から排除された未婚やシングルの女性たちは、少ない賃金で保険料を払い続けるか、加入することなく無年金者・無保険者になるしかない。 現在、共働き世帯が年々増加している中で、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」を発表した。これは、「一〇六万円」「一三〇万円」の壁を越えても保険料相当額の手当を支給する、又は「繁忙期での残業」である旨の証明書を企業が出せば、扶養控除対象者から外さないという制度であり、二〇二三年一〇月二〇日から実施している。 しかし、年間一三〇万円(月約一〇万八〇〇〇円)は、女性非正規の平均賃金約一九万九〇〇〇円にも届いていない。 女性を扶養家族の中に閉じ込めている「世帯単位」という考え方そのものを改めさせていく必要がある。 そもそも、様々な政策を行う際に政府が言う「夫婦と子供」というモデル家庭は、もはや全世帯の四分の一にも満たない23・3%なっている(グラフ1、2参照)。 また、約39%が単独世帯となっている。こうした現実を踏まえれば、政策の実施は、個人単位とするべきであるが、日本は未だに「世帯単位」となっている。この結果の弊害はコロナ禍の中で給付された一人一〇万円の給付金が世帯主に対して行われたため、「世帯主が独り占め」「DVなどのため現実には一緒に住んでいない避難者に給付金が届かない」などの問題が発生した。世帯単位の考え方は、日本の戸籍制度とこれとリンクしている住民登録に根差している。労働組合の一部には未だに「妻子を養える賃金を」と主張する人たちがいる。こうした考え方が、女性たちを低賃金に閉じ込める論理にもなっている。個人が自立し、尊重される社会を作っていくためにも、様々な政策の考え方を改めさせていく必要がある。 「年収の壁」を賃上げの規制や自己規制の口実とすることを許さない闘いが必要である。 昨年六月二一日には世界経済フォーラムがジェンダーギャップ指数を公表し、日本は前年の一一六位(一四六カ国中)から過去最低の一二五位(同)に下がった。G7でも東アジア・太平洋地区一九カ国でも最下位だ。 岸田政権と経団連は「我が国においては女性活躍の推進を成長戦略の柱の一つと位置づけている」と記している。しかし、これは人手不足に女性労働を安上がりに活用することが狙いとしか読み取ることはできない。 日本における女性の貧困の大きな要因は、低い賃金の下に置かれていることである。二〇二一年の内閣府の調査によれば、男性を100とした場合、女性の賃金水準は75・2である。また、非正規比率が女性は六割近くと高い。 大企業と中小企業における賃金格差に対する闘いと共に正規非正規間での賃金格差、とりわけ女性が多く占めている非正規労働者に対する賃金差別を許さず賃上げを勝ち取ろう。今こそ、全ての女性労働者の連帯と団結した闘いで大幅賃上げを勝ち取ろう。 最低賃金をだれでも どこでも一五〇〇円以上に 闘いの課題の第二は、誰でもどこでも最低賃金・時給一五〇〇円以上を目指すことである。 厚生労働省が五月九日に発表した「毎月勤労統計調査」によれば、物価変動を考慮した実質賃金は前年同月比2・5%減と二四カ月連続で前年割れをした。更に円安によって輸入食料品や燃料、原材料が上がり、物価高が今後も続くことが予想されている。こうした中で、賃上げは当然行われなければならないが、多くの労働者にとっては、最低賃金が上がることと連動して賃上げが行われている実態がある。二二年度では、最低賃金を下回る労働者の割合は19・2%あり、この層の労働者に対して、賃上げの波及効果がもたらされた。 しかし、昨年の一〇月に改定された最低賃金では、もはや諸物価高騰に追い付いていない。日本では、最低賃金の改定は年一回、一〇月に行われているが、フランスやカナダでは物価連動性を取り入れている州が増えているなど最低賃金を引き上げていくことによる賃金の底上げが随時行われている。そもそも日本の最低賃金は、経済協力機構(OECD)のデータによれば、二二年は、正社員の賃金中央値の45・6%となっている。フランスと韓国が60・9%、イギリス58%、ドイツ52・6%となっている。金額にしても他のOECD諸国では時間当たり二〇〇〇円前後になっているが、日本は加重平均一〇〇四円、最低額は八九三円である。このように低い水準にある最低賃金を物価に連動して上げさせていく闘いが厚生労働省への申し入れ等として全国各地で始まっている。 また、現在の物価高に見合う最低賃金の改定を行わせる際に重要な観点として、真に労働者の生活実態に合わせた改定を行わせていくことである。最低賃金審議会に於て議論されていた消費者物価は「持ち家の帰属家賃を除く総合」指数とされていたが、より生活実態に合わせた「基礎的支出項目」と「頻繁に購入する品目」の物価指数にすること、また生計費についても「基礎的支出項目」にすることを求めている。労働者の生活実態とかけ離れた数字のマジックで最低賃金を低く押さえつけるようなやり方を許さない運動を更に強めていこう。 そして、現在都道府県毎に決められている最低賃金を全国一律一五〇〇円以上とすることを目指した闘いを更に進めていこう。最低賃金の地域間格差により、労働力人口が都市へと集中し、金額の低い地域に於ては一層の高齢化や過疎化が進んでいる。こうした実態を解消するためには「誰でもどこでも一五〇〇円以上」の最低賃金を求めて運動を強化していこう。 全ての労働者が安全に働ける労働環境を作ろう 第三の課題は、四月から実施されたドライバー(年九六〇時間、拘束時間は休息も含めて年三三〇〇時間)、建設業(原則年三六〇時間、繁忙期労使合意により七二〇時間)、医師(年三六〇時間、特例九六〇時間、救急救命、地域医療従事者は特例一八六〇時間)の時間外労働の規制に伴う課題である。 現場では様々な「改革」が行われている。しかし、人手不足を理由とした残業時間を正しく申請させないただ働きの実態があることが報告されている。こうした不法行為を許さず闘おう。さらに、例えばバスの運転手は、全産業平均に比べて労働時間は一割長いにも関わらず年間所得は約二割低い三九九万円である(二三年版交通政策白書)というように、早朝や深夜勤務もあり、命を預かるという運転業務であるにもかかわらず賃金・労働環境が劣悪である。しかも、こうした労働条件を改善するどころか外国人労働者「特定技能」の対象にバスの運転手を含める閣議決定が行われている。人手不足を低賃金の外国人労働者で補わせるような動きを許さず、賃金労働条件の改善をさせていこう。そして、バスを公共交通の大切な地域の足として自治体による運営などを行わせていこう。 また、公立学校教育労働者に対して行われている「定額働かせ放題」の「教職調整額・基本給の4%」を政府は「10%」にしてお茶を濁そうとしている。これでは、残業代二〇時間分にしかならない。現実にはもっと多くの時間の残業をしている。「教職調整額」制度を廃止させ、働いた分の給料を払わせるという当たり前のことを一刻も早く実現しよう。 外国人労働者の労働者としての権利と人権を守ろう 第四の課題は、外国人労働者を共に働く労働者として受け入れ、賃金や労働条件のみならず、人権を守る闘いを行うことである。 日本人の人口は四月一二日に発表された総務省の人口推計によれば八三万七〇〇〇人減り約一億二一〇〇万人、生産年齢人口(一五歳~六四歳)は、二五万六〇〇〇人減少し約七三九五万人だった。実際に働いている労働力人口(外国人も含む)は約六九二五万人と一九年以降横ばいとなっている。日本人の労働力が減った分を外国人労働者が補っている。 円安と低賃金で日本で働く魅力は薄れている現実がある。そうした中でも政府は、現代の奴隷労働の「技能実習制度」を廃止するどころか、新たに「育成就労」制度の創設を行おうとしている。この制度は相変わらず外国人労働者を低賃金の労働者として、転職は制限付き、差別待遇や暴力支配の改善は不十分なままである。しかも、入管法の改悪によって難民申請が認められなければ国外への強制退去が行われることになった。そのうえ、今年の改悪では、比較的安定していた「永住」の在留資格も「税金の滞納」等で剥奪されるというまさに外国人敵視政策が行われようとしている。日本に住む労働者として安心して家族と共に暮らせるように、労働条件や賃金の改善と共に人権を蔑ろにする政策を許さず共に闘おう。 労基法のさらなる改悪を許さず職場・地域に労働組合の力を 第五の課題は、更なる労基法の改悪を許さない闘いを強化することである。 今、厚労省は「労働基準関係法制研究会」を設け、急ピッチで労基法改悪に向けた動きを進めている。労働時間の法制度の改悪に向けた動きとしては、「多様な職場に合わせた労働時間制度の柔軟性を」として「裁量労働制」や「高度プロフェッショナル制度」の適用職場を広げようとする動きがある。また、「副業」「兼業」「転職」の奨励など一つの職場で働き続けるという日本的な雇用制度を変えていく流れを更に進めようとしている。そして、集団的労使関係ではなく、労働者をバラバラにして、労働組合を解体させる動きを加速させようとしている。 今、労働者は多様な形態で働いている。一つの職場の中にも「正社員」「非正規社員」「委託労働者」というように、労働時間、賃金、労働条件がばらばらである。また、テレワークが始まり、今や働く場所さえバラバラだ。更に、ウーバーイーツで働く労働者のように、個人として事業所に登録し、仕事があるときにだけ働くという個人事業主的形態で働く人たちがいる。また、働きながら、別の会社で副業・兼業を行っている労働者がいる。このように労働者の働き方は、多様となっている。 しかし、こうした多様さも、現代資本主義社会が作り出した収奪構造である。職場や働き方は違っていても資本家に対して一致して闘う、そして働く仲間としての団結を階級的な団結へと打ち固めていくことが今こそ求められている。こうした闘いは、個別企業の枠を超えた産別的闘いとして発展させていくことが必要である。また、大資本による強硬な利益確保の犠牲となっているのは中小零細企業とそこに働く労働者たちである。また、主として非正規雇用労働者が担っている介護や福祉などのエッセンシャルワーカーである。こうした労働者を職場・地域を貫いて組織していこう。労働法制の更なる改悪を許さず闘い抜こう。 労働者の力で戦争への道を止めよう 第六の課題は岸田政権の軍事大国化と改憲攻撃と闘うことである。 岸田政権は、四月一〇日日米首脳会談を行い、米帝の戦争政策への全面的協力を宣言した。米帝からの兵器ローンは膨張し続けている。今年度の軍事費である防衛予算は七兆円を超えた。これらはすべて税金で賄われている。このための増税が目論まれている。しかし、岸田政権は、労働者市民をごまかし、自身の支持率を上げるために「定額減税」なる手段を用いようとしている。減税と言っても一人所得税三万円、住民税一万円の四万円でしかない。しかもこの減税が行われても、低所得者や無職者は無視されたままである。介護保険料などの社会保険料が増え、電気料金などの光熱水費の値上げ、生活必需品の値上げなどが行われるので生活はより苦しくなる。こんなごまかしの餌で労働者人民を地獄への道に引きずりこもうとする岸田政権を打倒しよう。 そして、「台湾有事」や朝鮮民主主義人民共和国への敵対心を煽ることによって岸田政権は、腐敗する自民党政治への批判をかわし、改憲への道に進もうとしている。今こそ労働者は、戦争への道を拒否し、アジア人民そして全世界の労働者市民と共に闘おう。イスラエルやウクライナに武器を供与する米帝に対して、日帝は国内でライセンス生産をしている地対空誘導弾パトリオットを輸出することを決めた。これは、間接的にパレスチナ人民を殺傷する武器を輸出することと同じだ。労働者は再び人殺しのために兵士になることも、武器を生産することも拒否して闘おう。 辺野古新基地建設阻止、沖縄・琉球弧の軍事要塞化を許さない。ウクライナ侵略戦争、パレスチナ人民虐殺を許さない反戦闘争に立ち上がろう。 |
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